*ExclusiveQuote(reblog&temp専用)*

最近ちきりんをとても悲しくさせるのがこのニュース。 いわゆる“1000円カットハウス”(1000円散髪屋)が、存続の危機という話。
理由は、「全国理容生活衛生同業組合連合会」=いわゆる普通の床屋さんの業界団体が、「洗髪設備がない1000円カットハウスは不衛生である」と言いだし、これに応じて、全国の自治体で洗髪台の設置義務を条例化する動きが拡がっていることだ。

このすばらしい案を提案したのは、床屋ではなく、何回も紹介している(もしかしたら日本で一番)名前の長い業界団体である「全国理容生活衛生同業組合連合会」のメンバーに違いない。彼らが定期会合かなにかで話し合って出てきた案なのだ。

例のやたら名前の長い連合会から話をもちかけられた市議の人も、そりゃーなんとかしてあげましょう、と思うわけ。なぜならここで尽力すれば、次の選挙の時に連合会組合員の組織票が期待できる。それだけじゃない。床屋さんがみんな「店のガラス窓にポスターを貼ってくれる」じゃん。それも、連合会の事務局の人にポンと100枚渡せば、市内の床屋に自分達で届けてくれる。これだけでも市議にとってはどれだけ有利なことか。

1000円カットハウスで起業する人も、そこで働く(引き継ぐ親の店がない貧乏な)理容師も、そこを利用する客も、選挙なんか手伝わないでしょ。それどころか国政ならともかく“市議選”なんて一生、投票にいかない人達だ。そんなやつらは絶対、条例に勝てない。

ところで、理容師と美容師も違う資格だから、お互い別の店で勝手に働いたりはできないし、地域の客層が変わったからといって勝手に店を変えたりもできません。なんでかって?

だって、資格を分けておけば、美容院の方もまたまたすごい名前の長い業界団体を作ってくれて、献金してくれたり、選挙ポスターを貼ってくれますからね。役人と政治家にとって「業界団体は多ければ多いほどよい」のだ。


客:1000円カットハウスに取られて減っている

理容室:後継者不足で減っている

理容師:なりたい若者も減っている


あれっ?

供給側も減ってるのに、客を取り戻してどーすんだろ。これなら、ほっとけば全部なくなって、それでいーんじゃないのか?

という自然な疑問を、またしても名前の長い団体の担当者に聞いてみると

ちょっとちょっとフリーターの皆さん、聞きました?

あなたたち、何でもやると思われてますよ。農業に介護に理容師まで とりあえず後継者のいない業界にはフリーターでもつっこんどけと。そういうのが大人の世界のトレンドみたいです。


しかも上の記事をもう一度読んでみると、「業界団体、専門学校、行政が一丸となり」と書いてある。つまり、需要と供給が両方減って市場が消えたら困るのは、客ではなく「業界団体」「専門学校」「市議会と行政」の皆さんというわけよ。しかも“一丸”って“癒着”とどう違うんだ?

さらに「雑務をしながら収入を得て、資格学校に通うという仕組みを作っていきたい」との記述も。なるほど、フリーターを“雑務”で働かせて、その給料は専門学校様にお納めしろと。・・・世の中は深いね。実に深い。おちゃらけていては、とてもついて行けなくなる。

つまりは、洗面台設置を義務づけて、1000円カットハウスを市場から退場させる→そこで働いていた理容師が失業する→その人はフリーターになる→後継者不足に悩む理容室で採用する→フリーターに雑務をやらせて給与を払う→その給与を専門学校が巻き上げる→巻き上げたお金の一部を次の条例を作る時の献金原資とする、という壮大な作戦です。

題を書くかわりに20年前のベトナム、ハノイで撮った写真を一枚載せておきましょう。街角の壁を利用して開かれる“青空床屋さん”です。なんの規制もないから、手に職のある人がこうやって自分でビジネスを始められる。まさに“1ドンカットハウス”だ。

彼らには理容店を開くようなお金はない。それでもはさみと鏡だけ手に入れれば、自分で事業が始められる。人気がでて儲かるようになれば、店を構えることも可能になるだろう。自由な競争の中で実力のある人がのぼっていき、自分の店や収入を手に入れる。

事件は会議室で起きている - Chikirinの日記
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